投資というのは、成功する場合もある一方で失敗することももちろんあります。株式投資でも株価が安くなっていると思って買ってみたものの、下落してしまって、売却すると損になってしまうということはよくあることです。不動産投資も同様で、うまくいく場合もあれば、失敗することもあります。ここでは、不動産投資にはどういう失敗例があるのかということをご案内したいと思います。

高利回りを謳っている物件を購入して失敗をした

不動産投資をする場合には、できるだけ高収益を得られるというのが、不動産投資をする最大の目的です。この場合の収益というのは、投資金額に対して、どれだけ収入があるのかということです。これを一般的に利回りといいますが、不動産投資の利回りというのは、不動産の購入金額に対して、どれだけの年間家賃収入があるのかということで計算をします。例えば、不動産価格が1,000万円として、月額の家賃収入が4万円とした場合の利回り計算は、
4万円×12ヶ月÷1,000万円=0.048=4.8%
という計算をします。ただ、この利回りというのは、あくまでも表面上の利回りです。そのため、この場合ですと、銀行預金よりもずっと高利回りだと思うと大きな間違いになるので注意をしましょう。
なぜ大きな間違いかというと、通常、不動産を保有している場合には、様々なコストが発生します。例えば、マンションを例にあげれば、マンションの場合は管理費用と修繕費用が必ずかかります。ワンルームであれば、安くても月額2万円ほどのお金が必要と言われています。また、それ以外に不動産を保有していると、固定資産税が毎年かかりますし、室内のエアコンなどの設備の修繕費は原則オーナー負担です。さらに、入居者が部屋を出た場合には、退去時のクリーニング費用などもかかります。また空き室の場合には入居者募集をしないといけませんので、仲介手数料は別途かかるなど、このように資産を保有しているということは入ってくるものもある一方で、コストもかなりかかります。特に不動産投資の場合は、賃料収入だけで投資利回りを考えてしまう場合が多いですし、不動産会社も日々かかるコストについてはあまり説明してくれません。そうすると、コストの度外視して投資の利回りのことを考えると、支出が収入を上回ってしまい大きな失敗をしてしまいます。そういうことがないように実質利回りがいくら位になるのかということを考えましょう。

売却したくても、査定価格では住宅ローンの返済ができない

不動産を取得して、その後、急遽、資金が必要になったから売却したいというときによく起こる失敗として、不動産会社に査定してもらった売却価格が住宅ローンの残債を上回ることができないということがあります。なぜこれが失敗かというと、金融機関は、住宅ローンの残債を返済しなければ、抵当権を外してくれないためです。抵当権が外せず抵当権付きで販売するということは、転売する上で転売が不可能になるほど不利な条件です。
ではなぜこのようなことが起こるかを説明したいと思います。まず注意しなければいけないのは、不動産が新築の場合は、取得価格に対して30%ぐらいの利益を乗せて販売をしているので、購入当初から周辺相場よりも割高であるということと、新築マンションの場合は、購入した時点で中古マンションとなるため、5年程度は価格が下落する傾向があるということです。そのため、もし購入して5年以内で売却しようとする場合には、価格自体が下落しているということと、住宅ローンの元金部分がほとんど減っていないということもあって、残債が返済できないという自体が起きてしまうのです。しかも、不動産取得後5年以内の売却に対しては、譲渡益があった場合には、それに対して40%以上の譲渡課税がされてしまいます。

こういうことが起きないためにも、まず不動産を取得した場合には、中長期的に保有するということを心がけることが必要ですし、もし、短期で売却ということになった場合には、損失が発生するということは覚悟しておく必要があります。